シェアハウス専門ポータルサイトのスタッフによる、シェア生活を楽しむための探検レポートブログ。東京、神奈川、千葉、埼玉、 そして全国各地のシェア賃貸住居をひたすら探検する専門ポータルサイトの隊員達。明日はあなたの物件へ・・・!?

家づくりで一番大切なのは、やはり愛情ではないかと。


本日の舞台は仙台市にある「SHARE HAGINOMACHI」。

大家さんのご実家だったという建物は、大きめの通りに面した蕎麦屋を併設した住宅。蕎麦屋は今でも元気に営業していて、地元の方々のお腹を満足させています。

大家さんは仙台で生まれ育ち、東京で働いた後に専業大家となるべく再び仙台へ戻ったUターン組。東京時代に職場に近いという理由で軽い気持ちで住み始めたことが、シェアハウスとの出会いのきっかけだったとか。

当初、期待感はそれほどなかったそうですが、身近な入居者の方から生活の中で多くのことを学んだり、普段は知り合えないような畑の違う分野で活躍する友人が増えたりといった体験を重ねるうち、次第にその魅力に惹かれていったそう。

仙台でもチャンスがあれば、と考えていたらしいのですが、機会はなかなか訪れなかったようです。しかし、それは灯台下暗しというヤツで…

実はご実家の蕎麦屋の2Fに、普段はあまり使われていない、やたらとだだっ広い宴会場があったのです。

はて。そう言えば、おなじく大ぶりな住宅部分も最近ではすっかり遊んでいるような…頭のなかで、つながる点と点。胸元でさわぐ大家の血と、駆けめぐるシェアハウスの日々の記憶。

慎重にプランを練ったすえ、2-3Fを女性向けのシェアハウスへ改修することを決意したのだそうです。

自ら全面的に舵取りをして法人を立ち上げ、プロジェクトに着手。改修にあたっても、アパート経営で身に付けたDIYのスキル(普通の大家さんは身に付かないと思うのですが)を発揮してたっぷり汗を流したそうです。

個人的にいたく関心したのは、建物とのつきあい方について。

自身で手を動かし、知恵を使い、インテリアを作る姿勢。インテリア選びでよく耳にする「合うものが無くて」という言葉をバッサリ切り捨てるように、頭を働かせて手を動かす。無いものは作る。

その思い切った姿勢が生み出す、店には並ばない面白い味わい。これが、なんとも良い塩梅でして。羨ましいなぁと思ってしまいました。

残された襖絵も、最近は住宅で使われているのは珍しい気がします。なお、お伺いした時点でオープンから少し時間が経っていたため、実は既に入居者さんもお住まいです。

そのこなれた(そして、僕らにとってはある意味で見慣れた)暮らしぶりを見て、仙台の地でも、いよいよシェアハウスが当たり前の住まいとして息づき始めたような気がしたのでした。


残念ながら外観写真はありませんが、大きめの通りに面して、今も元気に蕎麦屋が営業中です。

改修時に腕をふるった大工さんは、ここの常連さんだったのだそうです。お店で口説いたらしいですけど、それも縁ですね。

玄関へは建物奥にある細長い階段を上がります。

メイン・エントランスは3Fですが、2Fからの出入りも可能。入居する部屋によって、多少使い分けがあるかもしれません。


階段を上がって雨風をよけるアルミ製のドアの中へ入ると、部屋ごとに設けられた集合ポストのある玄関へ。

玄関の鍵はICカードをかざして解錠します。

宅配ボックスも働く女性にはありがたい設備。


では、可愛らしいガラスのはめ込まれた玄関を開けます。

目の前には奥行きのある廊下と、タイル張りの土間が広がります。

土間はかなり広く、なんだかデッドスペースのように感じて心配になるほど。

可愛らしい靴箱は事業者さんの手作り。

横板を一部重ねれば、そのままブーツが置けるようになります。

頭に描いた構想を形にできるのはDIYの醍醐味です。

一度、しっかりと作れば長く使えますしね。


靴箱の向かいはリビングです。ドアハンドルも選び抜いた建具。

パーツの組み合わせだけで、既製品には出せない独特の味わいが生まれます。

ドアを開けると大きなダイニング・テーブルが置かれ、テーブルを囲むように小さな木製のスツールが配置されています。

不思議なサイズ感にふと尋ねると、足組の溶接まで自身で行って作ったとの事。溶接部の仕上げは粗めとの事でしたが、手を掛けることを楽しんでいる様子が伝わってきます。

よく見るとスツールも手作り。

ところどころ凹ませたりして雰囲気を出すエイジング加工もお手製だそうです。座面の色も落ち着いた感じで、これまたニクイ。


続いて、存在感のある額の飾られたソファ・エリアを見てみます。

実はリビングを作っている時は、男女共用で使える空間をイメージされていたそう。

ですが、募集の段階で女性からのニーズが予想以上に多く、結果として女性専用物件に。

正直なところ黒いレザーのソファには、ほんのり男臭さが残ります。

でも、それがいい(男目線では)。

どーんと立派な3シーターは、ごろりと寝ころぶこともできるゆったりサイズ。

TVは壁掛けタイプで、配線の処理もシッカリ。

細かな配慮が光ります。シェアハウスを運営する上でもそうですが、細かいことの積み重ねって大事ですよね。


さて、続いてはキッチン周辺を見てみます。

ひときわ目立つDIYポイントは、やはり吊り戸棚。

戸棚の数が多いので、ひとりで幾つか使えます。真鍮のような風合いのツマミは、アンティークショップで発掘してきたものだとか。

キッチンは今回の工事で新設されています。

たっぷりめサイズのシンクに…

水栓は取り外し可能でシャワーも付いています。

取り回しやすくて便利そうです。

ガスコンロは3口。

スペースに見合う広さで、作業場所もしっかり。


さて、廊下を少し歩いてリビングのあるレベルから5段ステップを降りると、ガラリと雰囲気が変わり元から住居だったゾーンへ。

階段脇には、新設されたバスルームとシャワールームが並んでいます。

降りた先はちょっとしたホールのようになっていて、まだ使い道を模索中なのだとか。

入居者さんに何があったら嬉しいかを尋ねたら「足湯」との答えが多かったのだそう。むむ、かなりハードル高めですが、是非ともDIY精神で作り上げて欲しいものです。

とりあえず現在は多目的に使えますので、ストレッチやヨガをしてみたり、部屋ではできないちょっとした作業に使ってみると良いような。


ホールの先は2Fの玄関です。

部屋によっては、こちらの玄関を使った方が便利そうです。

鍵はICカードタイプで、オートロックになっています。

土間には古びた靴箱が置かれています。

と言うか、たぶん本当は靴箱ではない気がします。


さて、水周り設備はどんな具合でしょうか。

5段だけの階段の前の廊下側からバスルームを見ると、こんな感じです。

脱衣室に洗面台が用意され、奥にはバスタブがあります。

窓はありませんが、新しく清潔感があります。

お隣には、同じような作りでシャワールームがあります。

脱衣室に洗面を付けると、随分と良い感じになるものですね。


トイレは玄関脇に。

ウォシュレット・暖房便座付きです。


さて、それではいよいよ専有部を見ていきます。

まずは201号室へ。

鍵は引き戸専用のタイプ。

引き戸や押し入れ、天井や照明に和室の面影があるものの、畳だった部屋は、どこも床の張り替えでフローリングに。

築年数は程よい感じですので、経年変化を感じる建具もあります。

と言っても、開け閉めに苦労するような感じはありません。

使いやすそうなサイズ感のベランダも付いています。

見晴らしもまずまず。


続いては202号室。

既にご入居の方がいらっしゃいましたが、好意で撮影させていただきました。

窓から入る光も十分な量かと。クローゼットの位置やサイズも、使い勝手が良さそうです。家具や家電は入居者さんの私物ですが、いい感じで生活の空気感、出ています。

重心の低い家具を揃えると、部屋がより広く感じられます。


続いては203号室。コンクリートの躯体が剥き出しです。

ハードな素材感が、強烈なインパクト。

部屋を設計する段階から、ベッドの配置はイメージができていたそうです。そのため、梁の裏側には専用のライトが設けられています。

ちなみに、ベッドの上からスイッチのON/OFFができるようになっています。


階段を上がって3Fへ行くと、バルコニー付きの専有部が3室あります。

301号室は2面採光で、掃き出し窓の先は広いバルコニーです。

一段上がった位置にベッドが備え付けられています。

照明のスイッチは、やはり寝ながらでも手が届く位置にあります。ベッド脇の収納棚も、楽しげなDIYの香りがプンプン。

ちなみに、3F専有部のバルコニーは全て繋がっています。

普段使いをするのは自室前のスペースになると思いますが、なんだか開放感があります。


廊下の突き当たりには、303号室があります。

こちらも入居者さんがお住まいの部屋です。

窓の先に広がる大きなルーフバルコニーも、自室の一部のような気分。

季節によっては、ちょっとしたテーブルセットを出してみると気持ち良さそうです。バルコニーは室内よりも広いくらいで、有効に活用できれば賃料も割安に感じられるかも。

ちなみに、仙台からは遠く離れた南国出身のこの部屋の入居者さんは、海亀が好きなのだそう。室内には可愛らしい海亀グッズがいくつもありました。

青く透き通る海を、スイーッと泳ぎたいなと。


続いては、リビング方向へ戻ってランドリーエリアへ向かいます。廊下を回り込むようにして、リビングの裏手へと進みます。

突き当たりの消化器の前から左を向くと洗濯機が3台、ガス乾燥機が1台のランドリーエリア。

と思いきや、角度を変えてみると、

柱に隠れた洗濯機と乾燥機を発見。

合計で洗濯機4台、乾燥機2台。シャワールームやバスルームを含めて、水回り設備は充分な数が備わっています。

コンクリートの柱の裏手は、新設されたバスルームになっています。

脱衣室には洗面台も。

全体でバスルームが2室、シャワールームが1室です。洗面台も含めて設備数には余裕がありますから、利用時間がかち合ってのストレスはあまり無いはず。

元々は店舗部分にあたる洗面台は、鏡の一部に経年による腐食があります。ただ大きな鏡は使い勝手が良いです。

その奥には、こんなトイレも。

男性用の立ち式便器はあまり使われていなそうですが、一応友人の訪問は男性であってもOKとのことでして。


いくつか、旅館のような風情をもった部屋もあります。

例えば突き当たりの206号室は、引き戸のガラスも旅館風。

土間を挟んで、上がり框の先が専有部です。

ガラスの引き戸から、土間、そして襖の先の専有部と、緩やかに気持ちが移る感じが新鮮。

床はフローリングとなっていますが、やはり、元々が和室。ガラスの透過性や引き戸がもつ曖昧な空間の仕切りなど、和室の趣がなせる業は健在です。

ちなみにフローリングもDIY。

定期的に張り替え等のメンテナンスを怠ると表面が痛んで大変な事になっていく畳と較べ、フローリングはメンテナンスは楽ですよね。

隣室と共用ですが、障子を開けるとベランダも付いています。

収納は洋服を掛けられるよう、ハンガーポールが渡されています。

備え付けの収納量はこの程度。あとはうまく空間を使って頂ければ。


続いて、襖の絵柄に注目したい207号室。

広さは隣室の206号室と同じくらいです。

古い襖をそのまま使用している関係で、正直、ある程度の汚れや破れもあります。

とは言えこの部屋には、その味わいを粋に感じられる方に入居して頂きたいものです。

ベランダは206号室と共用となります。

どちらの部屋も窓の前に障子が付いていて、あまりベランダの様子が気になることはないような気はします。

ちなみに雪見障子なので、小粋な感じで様子をうかがう事もできます。


さて、周辺の様子はどうでしょうか。

ご近所を歩いた感じでは、落ち着いた住宅地で交通量も少なめ。建物は広い道路に面しているものの、車通りが少ないからか、近くの横断歩道には信号がありません。

お弁当・総菜屋とコンビニがすぐ近く。急な買い物や軽い食事にも便利そうです。

通りを挟んで向かいには、駄菓子屋さんもあったりします。

最寄り駅はJR仙石線・宮城野原駅で徒歩10分の距離。

仙台駅も徒歩圏と言える範囲なので、すこし遅くまで遊んでもタクシーでスパっと帰ってこられます。駅前には病院や公園もあり、ファミリー向けの落ち着いたエリアという感じでしょうね。


運営を行うのは「キャネロ株式会社」さん。

東京でシステムエンジニアとして働いていたそうですが、専業大家になることを決意し実家のある仙台へと戻ってこられました。

実家の蕎麦屋の常連だった大工さんと共に手探りでアパートを改修し、帰郷後すぐにアパート経営をスタートされたそうです。行動力、ありますね。

二人三脚+DIYでハードな大工仕事もこなしつつ、ご自身で考えたデザインを住宅に盛り込む術と、アパート経営の基礎を学んだのだとか。大変な時期もあったようですが、安心できる住まいの提供を通じて、育った土地で自分にできる事を行いたいのだそう。

個人的な事ですが、同じ東北出身者として陰ながら応援しているのです。「仙台の駅近でもやってみたいなぁ」とのことで、今後にも期待です。

2012年12月現在すでに満室ですが、空いているのを見つけた仙台っ子は、ぜひお問合せをしてみてください。


撮影時に荷物置き場になっていた部屋には、コンプレッサーや電ノコといった、ちょいお値段の張る工具が色々と置いてありました。

ああ、羨ましいです。はい。

(サトウ)

シェア萩野町は仙台駅周辺、仙台駅の東側で働く社会人向けのシェアハウスです。仙台は大震災の被災地ですので、安全・安心を第一に考えてリフォーム設計をしました。自立した社会人、働く女性を主な入居者と考えてルールを作り運営して行きます。入居者同士が快適に過...

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